やわらかな初夏の日差しが心地よいこのごろです。
さて、今日ご紹介しますのは、ご自分のお店を持ち、かつてそこで美容師をされていた、とあるお客様のお話です。
そのお客様ことJ様は、美容院に隣接するご自宅で、妹様と暮らしております。
そして、J様と妹様、お二人に、毎日お弁当を届けています。
「こんにちは!お弁当です。あれ?J様はお出かけですか?」
配達に伺うと、いつもJ様はご不在。そして、配達員のいつもの声かけに、J様の妹様も、決まってこう答えます。
「はい、美容院です」
J様はいつも美容院にいらっしゃる。もしかして、美容師として、まだ働いていらっしゃるのだろうか…。
そのような疑問が浮かび、ある日、妹様に聞いてみました。
「J様は、今も隣のお店で、お仕事をされているのですか?」
すると妹様は、こう仰られました。
「もう仕事はしていませんよ。お店に行くのは、姉の”気晴らし”です」
身体が重く、憂鬱な日。何となく気持ちが落ち着かない日。そして、不安でいっぱいな日。
そのような時に、気晴らしとなる、心を晴れ模様にしてくれる場所。J様にとって、その場所こそが、ご自分の美容院だったのです。
そして、明日もまた、妹様に尋ねてみようと思います。
かつてJ様が、元気に腕を振るい、様々なお客様を喜ばせていた様子を想像しながら。
「J様は今日も、美容院ですか?」